2021年春ドラマ 感想 ②

2021年春ドラマの感想 続き

- 生きるとか死ぬとか父親とか
原作:ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/ikirutoka/

主人公・蒲原トキコは20年前に母を亡くし、今では父の蒲原哲也がたった一人の肉親。愛嬌はあるが破天荒な70代の父、独身で勝気な40半ばの娘。ひとたび顔を合わせればギクシャクし一度は絶縁寸前までいった二人だが、今では時々外食しながら話をする関係になっている。そんなある日、トキコは父についてのエッセイを連載することになった。ネタ集めのため父に会うたびいろいろな家族の思い出を聞く。しかしそれは楽しい記憶ばかりではない。母との出会い、全財産の喪失、そして他の女性の影…。父への愛憎と家族の表裏を描く、普遍にして特別な家族の物語。

40代後半になったら、こういう風なことで悩むんだろうなぁと予習した気分になりました。
このドラマの見どころとしても紹介されているように、主人公・蒲原トキコ(吉田羊)がパーソナリティを務めるラジオ番組のシーンが好きでした。
嬉しかったのは、1話の始めがトキコのラジオ番組のシーンがあって、それぞれの場所でラジオを聞いているリスナーの姿がちゃんと写っていたことでした。

原作者であるジェーン・スーさんも実際にラジオ番組「生活は踊る」でパーソナリティを務めているので、ドラマの内容にリアリティが増して感情移入できました。
私は「生活は踊る」の方は全部聞けてないのですが、毎週金曜17時に更新されるpodcast番組「over the sun」は毎週の楽しみに聞いています。
スーさんと美香さんの掛け合いがとても面白くて癖になります。

それと、「生活は踊る」はTBSラジオだけど、ドラマはテレビ東京だったので意外だったし、ありなのか!と驚きました。

- あのときキスしておけば
金曜ナイトドラマ『あのときキスしておけば』|テレビ朝日
脚本:大石静 

壊滅的にポンコツで、夢もなく覇気もなく生きていたスーパーの従業員・桃地のぞむ。
唯一の趣味が漫画を読むことだった桃地は、ある日、大好きな漫画の作者・唯月巴と出会い、お近づきに…。
なんやかんやといい感じになり始めた矢先、彼女は事故で帰らぬ人になってしまう!
涙にくれる桃地の前に現れた見知らぬおっさんの口から出たのは衝撃的な言葉だった!

飛行機事故がきっかけで他人の体の中に魂が入ってしまう、というありえない設定なのですが、話が進むにつれて、はまりました!
井浦新麻生久美子の二人一役って想像つかなかったけど、それを信じさせてくれる二人の演技力がすごかった。特に井浦新
主役の松坂桃李のダメダメっぷりと、三浦翔平のはっちゃけた感じも笑えた。
笑えるんだけどラストに向かうにつれて、これは時間に限りがある幸せな時間という現実が見え隠れしてきて切なかった。

もしかしたら亡くなってしまった人は、別の何かに生まれ変わって、意外と近くにいるのかも?という想像が膨らんでしまいました。

こちらの記事の考察がすごく分かりやすくてよかったです。
テレ朝POST » 衝撃の“男女入れ替わりドラマ”が描く、どこまでもピュアな恋。死の喪失感も徐々に浮き彫りに<あのときキスしておけば>

-今ここにある危機と僕の好感度について
脚本:渡辺あや 
今ここにある危機とぼくの好感度について - NHK

主人公は大学の広報マン。次々に巻き起こる不祥事に振り回され、その場しのぎで逃げ切ろうとして追い込まれていく。その姿をブラックな笑いとともに描きながら、現代社会が抱える矛盾と、そこに生きる人々の悲哀に迫る。

あのキスと同じく松坂桃李主演ドラマ。
こちらでもイケメンというよりか、気弱なタイプの主人公でした。
ブラックユーモアたっぷりで、自らの保身のために組織の圧に屈してしまう主人公がすごくリアリティありました。
最後は少し成長できたような、変わってないような。
印象に残ったセリフは、キング牧師の言葉から引用された「善人の沈黙が一番の罪」です。
何か問題が起こった時に見て見ぬふりしてしまうことって、正直心当たりがある。
「何もしない」って一見、無難で楽ができて無害に見えるけど、長い目で見ると実は一番の罪なのかもと思いました。