読書#003「直島誕生」秋元雄史

感染状況が落ち着いているうちにどこか国内旅行に行きたくて、一番に思いついたのが香川県にある直島だった。
数年前に訪れた直島の地中美術館がとても良くてまた行きたいと思っていた。
とりあえず岡山までの新幹線とホテルを予約。JRで宇野駅まで行き、宇野港から直島へ渡った。

地中美術館はやっぱり素敵だった。飽きずにまた行きたいと本当に思う。
地中美術館という名前の通り、美術館は地下に建設されていて、人工的な照明は廊下などの最小限にしかない。無機質で最小限の照明で暗くて、すごく落ち着く。
薄暗い館内とは対照的に、併設しているカフェからの海の眺めは明るくて最高だった。
恒久展示で作品は3つしかないけれど、時間の許す限り離れたくなくて、結局3時間近く滞在していた。
目的だったクロード・モネ室は不思議な空間で、自然と瞑想のような状態になった。
宗教的というか、哲学的な場所のように感じた。
天井の窓からふんわり入ってくる自然光が優しく、ずっとそこに居たくなる居心地のよさを感じた。
美術館なのでもちろん無音なのだけど、もしここに音楽を流すならラヴェルの水の戯れがいいなと勝手に妄想していた。

どういう経緯で地中美術館ができたのか気になって、秋元雄史さんの「直島誕生」という本を読みました。
秋元さんがベネッセに学芸員として入社し、その後直島が現代アートの島になるまでの奮闘がとても詳しく記されていました。
今だから言えるようなベネッセの社内事情、トップである福武会長とのやり取り、作品を選ぶ過程から普遍性とは?芸術とは?といった哲学的な話しまで盛りだくさんです。
本の中身も装丁も文字しかありません。
絵や写真は一切ないので、直島旅行中に入手したハンドブックやリーフレットと照らし合わせながら読み進めました。
文章から秋元さんのものすごい熱量が伝わってきます。面白くて1日であっという間に読んでしまいました。

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